塗料や塗膜の粘性と弾性

塗料も塗膜も液体(粘性)と固体(弾性)の性質を持っている粘弾性体です。

塗膜を速く引張ると固体の性質が大きく現れ、ゆっくり引張ってみるとヤング率が小さくなり液体の性質が大きく現れます。
温度は一定なのに何故ヤング率が引張り速度で変化したのでしょうか?

分かり易くするために塗膜をアスファルトに例えます。
この上を車が高速で走り抜ける場合と、アスファルトを突き抜けて咲いた花で考えてみましょう。
アスファルトは車から見れば硬い路面ですが、草の芽から見ると突き抜けることができる液体のようです。
車と草の芽は何が違うのでしょうか?
アスファルトに作用している時間が違いますよね。

全ての粘弾性体は固体として頑張る時間を持っています。
塗膜は種類や硬化条件が異なれば、それぞれ異なる頑張り時間を有しています。
問題は作用時間が頑張り時間を越えるかどうかのようです。
車のように作用時間が頑張り時間よりもはるかに小さい時に固体の性質が大きく現れ硬い路面になります。
一方、草の芽が成長しながら絶え間なくアスファルトを押し続けると作用時間は頑張り時間を上回り、アスファルトは固体として頑張るのをあきらめて流動します。
なので草の芽からみればアスファルトは液体に過ぎないのです。

同じ様な現象が温度の変化で現れます。
塗膜を加熱すると分子間力が弱まり、頑張り時間が小さくなります。
冷却すると、反対に頑張り時間が大きくなります。
作用時間が同じであっても頑張り時間は温度で変わるため、低温側で「作用時間<頑張り時間」になると硬く、高温側で「作用時間>頑張り時間」になると軟らかくなってしまいます。