水性塗料・粉体塗料の使用

理想的な環境対応型塗料は水性塗料です。
水は分子量が低いのに蒸発速度は遅いという特殊な液体で、溶剤代わりに水を使用すると樹脂を溶かせないので、一部に水に親和性のある構造を取り入れ溶解、または水中に分散します。
ですが親和性を強くし溶解性を上げると塗膜の耐水性が低下するので(外壁塗装等への使用が難しく)、塗料用樹脂としてコロイダルディスパージョン型・エマルション型を使用しています。

次に水の蒸発速度の遅さに対して自動車ではスプレー時に低粘度、塗着時に高粘度になるよう塗料の設計が成され、たれやアルミニウム顔料のムラを防いで次のクリヤ塗装前には赤外線や熱風を用いて水を蒸発させています。
水性塗料は表面張力が大きいためはじきやわきを生じやすく、一般的な水性塗料では、塗装作業性・成膜性向上のため塗装中に少量の有機溶剤を併用します。

理想的なもう一つの塗料は基本的にVOCゼロの粉体塗料です。
熱硬化性粉体塗料にはエポキシ樹脂系、エポキシ/ポリエステル樹脂系(一般金属用途)、ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系(屋外使用の金属製品)があります。
樹脂、硬化剤の選択には塗膜の性能だけでなく粒子の凝集への配慮が必要です。

問題点としては
●使う側:専用塗装ブース、塗装ガンなどの設備が必要。色替えが面倒、塗膜外観性が劣る等
●供給側:製造に手間がかかる、色合わせが難しく少量多品種生産に向かない、メタリック塗料が造りにくい等

一方で粉体塗料は一回塗りで厚膜塗装も可能、強靭な膜を形成することができる優れた材料でその特性から家電、自動車部品、金属製品等の多分野で活用され、今後の需要増が期待されています。

ハイソリッドと無溶剤型塗料の使用

塗料の(塗装時の)固形分を高くすると揮発する溶剤量は当然ですが減少します。
業界によってハイソリッドと呼ばれる塗料の固形分は一律ではありませんが、固形分の高い塗料がハイソリッド塗料と考えてよいでしょう。

ハイソリッド塗料を得るための最も基本的な方法は、樹脂の分子量を下げ、粘度を下げて固形分が高くても同じような粘度で塗装できるようにすることです。

しかし、樹脂分子量が低下すると硬化塗膜の硬さなどが低下し耐候性(外壁塗装等屋外で使用した時の耐久性)もかなり低下します。
これを防ぐために塗膜が硬化する際の反応点を多くし、分子同士を結合させる必要があります。
また、ハイソリッド塗料では塗装する際にたれやぬれ不良などの塗装欠陥が生じやすく、表面張力や構造粘性(粒子が繋がることで生じ、撹拌速度によって変化する粘性)の調整が必要になります。
日本では自動車塗装の最上層のクリヤ塗料にハイソリッド塗料が有力視されています。
ハイソリッド塗料のメリットは基本的に現有の塗装設備が使用できることです。

無溶剤型塗料は溶剤量をゼロにした塗料です。
例をあげると反応性希釈材であるスチレンモノマーで溶解した不飽和ポリエステル樹脂塗料、アクリルモノマーで希釈した紫外線硬化塗料などがあります。

ハイソリッド・無溶剤型塗料はどちらも各種工業用塗料、船舶、重防食塗料などの分野で開発が続けられていますが、塗装作業性、塗膜外観性などの改良も最重要点になっています。

“タレ”を防ぐ塗料のからくり

塗装材料の流動性はパテ・クリヤ・エナメル・分散液に至るまで色々です。

これらは全て流動状態を経て固化します。
平滑な良い外観に仕上げるために塗装方法に合った流動性(粘性と弾性)が必要ですが、大雑把に言うと粘度で液体の流動性を比較します。
絶対粘度は回転粘度計で計測しますが、普通の作業では粘度カップを使用しカップ内の塗料の流出時間を計測します。

樹脂溶液中に微粒子を分散させると小さな力で塗れ、塗装後は粒子の連結で粘度が一気に上昇するため、タレない性質を付与することが可能になります。

流動性にも綺麗に塗るための塗料のからくりがあるということです。